米味噌

米味噌の作り方:カビない、甘めのおいしい味噌を家で仕込むのためのレシピ

このレシピは、何度も家で味噌作りをしていますが、ほぼ失敗しらずのレシピです。猛暑時をのぞけば、一年中、仕込みのレシピとして使用でき、カビなど生えることもありません。

倍麹で甘い味噌ができる

麹割合20の倍麹にしているため、できあがりはちょっと甘めの味噌になります。米麹の割合を多くすることで、発酵も早く、長期熟成させなくても、3ヶ月程度で甘い味噌が出来上がります。
(大豆と米麹の量が同等であれば、麹割合は10となります。)

失敗せずに作るポイント

家で味噌を手作りする時に、失敗せずに仕込むポイントは、

新鮮な麹を使うこと
大豆を完全なペースト状にすること
カビに注意すること

です。

作った後は作業がほとんど発生せず、味噌作りはとても簡単です。 手前味噌で恐縮ですが、このレシピの味噌を食べた人からは「甘みがあっておいしい」と評判でした。

日本で一番多く食べられているのは米味噌

日本では消費者庁というお役所によって、味噌の種類が明確に定められています。 米味噌、麦味噌、豆みそ、調合みその4種類があり、この中で、日本でもっとも多く生産されているのが、米味噌であり、国内製造量の約8割を占めています。

一言で米味噌と言っても、その中でさらに、甘味噌、甘口味噌、辛口味噌というように分けられています。

麹割合が高い白味噌が甘味噌で、塩分濃度が高い信州味噌は辛口味噌となります。ちなみに大豆から麹を作り、米を全く使わずに作ったものが、愛知県民の愛する豆味噌で、赤だしなどに使われています。


材料(約2 kgの出来上がり/麹割合20):

  • 生の米麹 1000g(乾燥の場合は900g程度)
  • 乾燥大豆 500g
  • 塩(品質の良いもの) 288g

必要な道具:

  • 大きめの鍋(圧力鍋があるとよい)
  • ブレンダー、もしくはミキサー
  • 大きめのボウル
  • 茹でた大豆をペースト状にするための容器
  • 食品用のプラスティック製の保存袋(ジプロックなどのフリーザーバッグ)
  • ヘラ
  • 料理用の使い捨て手袋

準備


duration
about 5-10 min.

味噌を作る前日の夜に大豆を水に戻しておく。 大豆をよく洗い、汚れを落とす。傷んだ大豆が混ざって入れば取り除く。洗いあがった大豆は大きめのボウルに入れておき、大豆の3、4倍程度の量の水に浸しておく。

海外の硬水地域で味噌を作る場合には、好みで大豆を戻す水をVolvicなどの軟水を使うとよいかもしれない。

大豆を煮る & 塩切り


duration
about 40 min. - 7 hours

8時間から12時間ほど大豆を水に浸した次の日、大豆が完全に水を吸って、ふっくらと丸くなっていたら、水を十分に吸っている証拠。もし、シワがあり、大豆が完全に水を吸っていない場合には、さらに水につけておく必要がある。水をお湯に変えると、大豆を早く戻すことができる。

冬場、温度の低い時の方が吸水に時間がかかる。 完全に吸水した大豆をざるにあけて、鍋に大豆を煮るための新しい水を入れる。(500gの大豆に対して、2、3リットルほど) 大豆を戻した水ごと煮ても問題ないようだが、ここでは新しい水を用意する。

鍋を火にかけて、沸騰するのを待つ。沸騰すると、アクがたくさん出てくるので取り除く。

アクを十分に取らずに煮てしまうと、茹で上がった後に、アクが固まり、灰色の消しゴムカスのようなものが茹で汁の中に混ざりこんでしまうことがあるので、アクは可能な限り取り除く。 アクが十分に取り除かれたら、蓋をして大豆を煮る。 圧力鍋の場合は、圧がかかってから、15分から20分程度煮る。普通の鍋の場合には、豆の硬さを見ながら、豆が指先で潰れるぐらいに柔らかくなるまで、ふきこぼれないように1時間から6時間程度煮る。

大豆を煮ている間に、米麹に塩を混ぜて、塩切りをしておく。この時、分量から15gほどの塩をよけておき、最後に味噌を袋詰めした時に使う。 麹と塩を大きめのボウルでよく混ぜる。このボウルは、後ほどペースト状になった大豆を投入するので、すべての材料を混ぜるのに十分な大きさのボウルを用意する。

味噌の味を左右するので、塩はなるべく品質の良いものを使う。添加物の入っていない天然のものがおすすめ。

料理用の使い捨てビニール手袋などを使って、材料を混ぜる。(手に傷がある時などは特に。)

詳しくは 《はじめに》を読む。

塩切りしている時に、米麹の塊を見つけたら、指で米麹の塊を崩しておき、よく塩と混ざるようにする。

大豆をペースト状にする


duration
about 10-15 min.

大豆が煮上がったら、鍋を火からおろす。 圧力鍋の場合は、圧が抜けるまで放置し、余熱調理する。煮上がった豆が、親指と小指で挟んで潰れるぐらいに十分に柔らかければよい。

鍋の中に大豆の皮が浮いていたらそれを取り除く。 大豆が温かいうちにブレンダーやミキサーでペースト状にする。

茹で汁を切りながら、大豆を容器に移す。ブレンダーでペースト状にする場合には、少し細長い容器を使うと均等にペーストにしやすい。 茹で汁は後ほど使うかもしれないので、ここではまだ捨てない。

機械を使わずに、すり鉢などで大豆を潰していく場合には、豆の形が残らないようにすべての大豆が完全に潰れれるようにする。もし大豆が完全に潰れなかった場合には、麹と混ざらずに発酵が上手く進まず、味噌の出来が悪くなることがある。

容器が小さすぎて、一度に500gの大豆をブレンダーにかけれない場合には、大豆の量を分けてペースト状にする。 煮上がった大豆をペースト状にした後、冷めるまで少し置いておく。温度が高い状態で、米麹と混ぜてしまうと麹菌が損なわれてしまうので、大豆ペーストの温度が36度以下になるまで冷ましておく。

温度が冷めて、完全に大豆を潰すことができたら、塩切りした米麹と混ぜる。

大豆ペーストを米麹と混ぜて、保存袋に入れる


duration
about 15-20 min.

塩切りした米麹と大豆ペーストをよく混ぜていく。もし大豆ペーストの中に潰れていない大豆の粒を見つけたら、この時点で潰しておく。 この時、古い味噌を大さじ2程度入れると、古い味噌に含まれている酵母が大豆の発酵を促してくれるが、入れなくても風味のよい味噌を作ることはできる。

もし塩切りした米麹と大豆ペーストを混ぜあわせたものが、水分が足りず、パサパサした状態の時には、大豆の茹で汁を入れて調節する。大抵、生の米麹を使う場合には、茹で汁を加えなくても十分にまとまりのある生地になるので、茹で汁は必要ない。乾燥したタイプの米麹を使う場合には、米麹の水分が生のものよりも少ないので、大豆の茹で汁を少量入れると良い。

しかし、発酵が進むと水分が出てくるので、米麹と大豆ペーストを混ぜたものは若干水分が少ないぐらいの方がよい。 発酵が進むと、米麹そのものが溶けるかのように体積を失い、水分が出てくる。 ジプロックなどの保存袋に味噌を投入する前に、米麹と大豆ペーストの塊からなるべく空気を抜くように、ボウルの中で叩く。

保存袋の口を少し折り返して、米麹と大豆ペーストの塊を入れやすくする。 袋の中に空気が留まらないように、角の方から詰めていく。伝統的な方法では、この時点でいかに空気を抜くかがポイントになるようだが、プラスティック製の保存袋を使えば、発酵の途中段階でも簡単に袋の口を開け閉めして、空気を抜くことができるので、それほど神経質にならなくてもよい。

生地がすべて保存袋に詰められたら、約15gの塩を袋の口の付近にある生地にかけておく。(空気のあるところカビが生えやすくなるので、塩分濃度を調節するため) 袋の口辺りはカビが生え易いので、特に空気をちゃんと抜いておく。 今まで、保存袋ではなく、味噌をガラスのビン詰めやプラスティックの容器に詰めて発酵させたことがあるが、いずれの場合も空気を完全に遮断することが難しく、カビの発生を防げなかったが、このジッパー付きのプラスティックバッグを使うことでカビ問題が解決した。

もし保存袋の口部分に材料がついてしまった時には、きれいにキッチンペーパーなどで拭っておく。 空気を抜きながら、袋全体に味噌の生地が行き渡るようにして、袋のジッパーをとじる。

発酵


duration
about 2-10 months

袋に忘れないように、仕込み日と材料の分量を書いておく。(出来上がりに問題があった時にこれが手掛かりとなる。) 味噌は基本、寒仕込みで一夏を越して初めて食べることができると言われている。個人レベルでの味噌作りの経験からすると、たしかに夏場に仕込むとジッパー付きの保存袋を使ってもカビが生えやすくなるので、日本のような暑い夏には仕込まない方がよい。

1ヶ月後、様子を見ると生地全体が茶色っぽくなり、少し水分が出てくる。 発酵が進むと、米麹の粒々も形が失われてくる。 気温が高いほど発酵が進みやすく、色がどんどん茶色くなってくる。空気が出てきたら、その都度、ジッパーを開けて、空気を抜く。

出来上がり!


expiration date
within 12 months

この写真の味噌は、ヨーロッパの春から初夏にかけて、室温で3ヶ月半ほど発酵させた味噌。カビた様子もなく、色もきれいな茶色に変化し、香りも出てきたら、食べ頃のサイン。食べてみて、ツンとした塩味がなく、甘みが感じられたら発酵が進んだ証拠。食べ頃だと感じたら、味噌の出来上がり。

発酵の期間は、仕込みの季節によって違ってくる。日本のような気候で、夏の始まりに仕込みをして、30度近い室温で発酵させると、1ヶ月後には茶褐色になった味噌ができていることがある。 このレシピの場合は、23度程度の気温で、2〜6ヶ月程度置いておくと発酵が進むようだが、発酵状態によって味が変わってくるので、それぞれ好みの食べごろの時期を見つけて味噌を楽しむことができる。 発酵が十分と感じたら、冷蔵庫で保存すれば、その状態を長く持たせることができる。発酵が進みすぎると味噌に酸味がでてくるが、酸味のある味噌が好きならそれもよし。