甘酒

麹の力で砂糖を使わなくても甘くなる

甘酒と言われるものには、一般的にふたつの種類が存在する。

ひとつは、酒粕を水で溶かし、砂糖などで甘みをつけたものであり、もうひとつは、粥状の米を米麹で発酵させたものだ。

米麹を使って発酵させたものは、酒粕と砂糖を使ったものとは違い、アルコール分も砂糖も入っていない。それなのに醸されたことで、出来上がった甘酒はとても甘く、飲む時には 水で伸ばさないといけないぐらいだ。 砂糖も使っていないのに、蜜のようなこの甘さは一体どこから来るのか。 その秘密もやはり発酵にある。 日本酒の原料は米麹、米、酵母だが、甘酒には、米麹と米だけが使われる。つまり甘酒の発酵には酵母が作用しないため、酒の並行複発酵とは違って、 アルコール成分が発酵段階でできることはないけれど、酒醸造と同じように糖化が行われている。この糖化という作用に一役買っているのが、アミラーゼという米麹に含まれる酵素だ。

酵素たっぷりの甘酒が作れる

結果、甘酒にはたくさんのブトウ糖が含まれるが、その他には米麹に麹に由来するビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、パテント酸などと共に、体内では生成できない必須アミノ酸も含まれている。 砂糖不使用なのに甘くて、栄養価の高い甘酒、作るのも簡単で、ちょっとした道具とわずかな時間でできてしまう。出来上がったものは、飲むだけなく、 漬物作りや料理の味付けにも使える。しかも、自家製の甘酒は市販品の甘酒と違って、酵素がそのまま生きた状態でいただけるという絶対的なメリット がある。 これでは飲まぬ理由も作らぬ理由もないではないか。 ということで、麹ライフが始まってからは、甘酒は買うものではなく、作るものとなった。甘酒に使う米麹もやはり、麹の力が活発な状態の新しく、生のものがよい。

うるち米を使ったバージョン

ここでは、うるち米を使った甘酒を紹介している。甘酒のレシピの中には、うるち米ではなくて、もち米を使ったものも存在するが、どちらも作ってみたところ、うるち米の方が私好みでおいしく感じられたからという理由で、うるち米甘酒を紹介することとなったが、もち米で作りたいという人は、材料をそのまま入れ替えてもらえればよい。 ヨーグルトメーカーや炊飯器があれば簡単にできる甘酒だが、そういった便利商品がない海外でも作れる方法を考案してみた。


材料:

  • 米麹(生)100g
  • うるち米 130g
  • 水 900ml – 1150ml

必要な道具:

  • 鍋類
  • ヘラ
  • 温度計
  • 電気毛布と湯たんぽ、もしくはガス台(ヨーグルトメーカーがあればなおよい)




準備


duration:
about 5-10 min.

まずおかゆを作る。米を洗い、1時間程度水につけておく。 すでに炊かれたごはんがある場合には、それを使うことも可能。その場合は260g程度のごはんを使用する。

お粥を作る


duration:
about 40-90 min.

米を大きめの鍋に入れて、水を入れる。小さい鍋だと水が噴きこぼれてしまうので、大きめのもがよい。まず 900ml程度の水を投入する。 すでにごはんの状態になったものからお粥を作る時には、500ml程度の水で煮て、粥状になるまで煮る。

鍋を火にかけて、お米を粥状になるように煮る。鍋底が焦げ付かないようにヘラなどでよくかき混ぜる。 お米が粥になってきて、水分が少なくなったら残りの水(250ml程度)も追加する。水が多すぎるようなら追加する必要はなし。水分量を計らずに、適当な硬さのお粥が用意できればそれでよし。ゆるめよりは、少し水分の少ない固めのお粥を用意する。

20、30分程度煮た後、食べてみて、お米に芯がなく、完全に柔らかくなっているようだったらよし。

お粥を60度ぐらいの温度になるまで冷ましておく。 お粥の温度が60度ぐらいまで下がったら、お粥と米麹を混ぜて、6時間程度、60度で保温する。混ぜた状態で温度が急激に下がってしまった場合には、火にかけるなどして、60度ぐらいになるように材料に熱をもたせる。 保温にはいくつかの方法がある。 今回は、炊飯器の無い国や60度で保温できるヨーグルトメーカーが売られていない国でもできる作り方を紹介。ヨーグルトメーカーを持っている人はそちらを使ってもらった方が、手間がかからず簡単にできるのでおすすめ。

甘酒を保温する


duration:
about 6 hours

一つ目の方法は、弱火の状態で湯煎にかけて保温するというもの。 大きめの鍋を火にかけて、小さな鍋に入った甘酒をその中で湯煎にしてあたためる。この状態で6時間、60度の温度が保てるようにする。 湯煎の場合は、温度が上がりやすくなるので、材料に70度以上の温度にならないように常に注意しておかなくてはならない。そのため、頻繁に温度計でチェックしながら、火を消したり、つけたりして温度を保つようにする。

二つ目の方法としては、湯たんぽと電気毛布を使う方法。 材料が65度ぐらいになるまで熱をもたせ、その材料が入った鍋の下にファシーなどの保温性にすぐれた湯たんぽを敷いておく。湯たんぽの下には、電気毛布を一番高い温度に設定して、電気毛布の熱が逃げないように、箱などで甘酒を保温するようにする。 ファシーなどの湯たんぽは熱湯を入れてはいけないタイプなので、熱湯ほど熱くはないが、なるべく熱いお湯をいれておく。あまり熱いお湯を入れると、湯たんぽが破れてしまう可能性があるので注意する。

56度の品温を保った場合でも、6時間後には糖化が進み、甘みのある甘酒となった。アミラーゼがデンプン質を糖化するには、60度前後の温度が適している。

出来上がり!


出来上がると米麹と粥が溶けたようになり、最初、材料を混ぜ合わせた時よりも全体的に水分が多く感じられる。甘みが十分にあれば、甘酒の出来上がり。

糖化のため、米のデンプン質がすっかりブドウ糖に置き換わり、とても甘くなった甘酒。天然の甘さには違いないけれど、とても高い糖分を含んでいるので、飲む時にはお湯などで薄めて、飲みすぎないのがよい。 すりおろした生姜とわずかに塩を加えると甘みが引き立って、美味しくなる。 酵素をそのまま味わいたい時には、火入れせずに冷蔵保存しながら、数日程度で飲みきってしまうのがよい。 70度になるまで火入れして、酵素の働きを止めてしまえば、冷蔵庫で1週間から2週間程度は日持ちする。 飲むには多すぎる場合には、べったら漬けにしたり、砂糖の代わりとして料理にも使える。