Oryzae Wonderland

一般的に、麹というと白米を麹菌で発酵させた米麹のことを指すことが多いが、醤油醸造用に大豆を麹菌で発酵させたものは醤油麹、麦味噌のために麦に麹菌をつけて発酵させたものは麦麹、豆味噌のために大豆を麹菌で発酵させたものは豆麹呼と呼ばれ、いずれも「麹」である。
醤油醸造用の麹菌、豆用の麹菌、麦用の麹菌など種類があり、タンパク質を発酵させる作用が強いのか、米のでんぷん質を発酵させる作用が強いのかなど、用いた麹菌によって麹の食品分解の作用が異なるため、最終的に作る食材（味噌用、醤油用、麦味噌用、酒用、甘酒用など）を決めてから、麹菌を選ぶのがよい。
作り方: 米麹

醤油の原料は、大豆、小麦、醤油用の麹菌、水、塩。伝統的な醤油は、1年半から2年という長い時間をかけて、醤油桶の中で乳酸発酵と酵母発酵によって熟成し、完成する。
作り方: 醤油

大豆を納豆菌によって発酵させたもの。藁にくるまれた藁納豆は、藁に元来付着している納豆菌を利用して作られたもの。藁を利用せずに納豆を作るならば、培養された納豆菌が便利。

キャベツを塩漬けにし、乳酸発酵させたもの。ドイツ語で"Sauerkraut"とは「酸っぱいキャベツ」いう意味で、名前の通り、酸味がある。ドイツだけでなく、他の周辺国でも食べられている料理の付け合せ。ドイツではスーパーで袋詰めして常温のコーナーでも売られているが、オーガニックショップの冷蔵コーナーで売られている生のザワークラウトの方が美味しくて、おすすめ。

牛乳などを乳酸菌で発酵させた食品。発酵に使用する乳酸菌によって、出来上がるヨーグルトの味や固さが違う。ケフィアヨーグルトは、ヨーグルトの中でも酵母と乳酸菌によって発酵し、微量のアルコール分を含有する珍しいタイプのヨーグルトとして知られている。

朝鮮半島で好んで食べられている乳酸発酵の食品。白菜やにんにく、唐辛子などを使用したものが一般的で、唐辛子の辛さが特徴的。大根を使用したカクテキ、唐辛子などを使用せずに漬け込んだ、白いキムチを意味するペッキムチなど、種類が様々。

ブドウ果汁の中に含まれる糖分が酵母によって発酵したことで得られるアルコール飲料。ブドウに付着している自然の酵母もアルコール醸造に作用する。

小麦などの穀物の粉を水などをこねて、酵母により発酵した起源の古い食品。原料と酵母を変えることによって、様々な風味のパンを作ることができ、パン用のイーストには、ドライイーストや生のイーストの他に、サワードウなどの自然培養されたパン種もある。サワードウで作ったパンは、酵母と共に、乳酸発酵も作用しているため、酸味のあるパンが出来上がる。

日本酒の原料は、米、麹、水、そして酒酵母。日本酒の発酵過程は、蒸したうるち米のデンプンが米麹の酵素によってブドウ糖にされる発酵と同時に、そのブドウ糖が酵母によってアルコールにとなるアルコール発酵が同時に行われる並行複発酵によって作られる。
作り方: 酒

アルコール発酵した原料をさらに酢酸菌で発酵させたもの。世界最古の発酵調味料。日本酒に酢酸菌が作用すると米酢となり、ぶどうを原料としたワインはワインビネガーとなり、りんご酒はりんご酢となる。

フィリピンの伝統的なデザート。歯ごたえのある独特の食感。砂糖などの糖分を添加したココナッツジュースをAcetobacter xylinumという酢酸菌で発酵させると、酢酸菌の作用により表面に分厚い膜を作り、これがナタデココとして食される。

紅茶などのお茶に砂糖などの甘味料を加え、酢酸菌で発酵させた飲料。糖分を加えることで、液体の上部に分厚い膜を生成する。1970年頃に日本でも一時流行したことで知られるようになった。海外では現在も、Kombuchaという名称でペットボトル詰めされ、市場に出回っている。残念ながら、熱処理した市販品のKombuchaには生きた酢酸菌がいないため、それを用いて、さらに紅茶きのこを作ることはできない。ナタデココと同様に膜を張るタイプの酢酸菌が作用しているが、ナタデココとは違って生成された膜を食べるのではなく、出来上がった膜は次の紅茶きのこを仕込むのに使用される。