醤油(濃口醤油)

作り方 醤油


この醤油の作り方のページは「醤油醸造のための醤油麹の作り方」の続きです。

醤油を醸造するためには、醤油麹が必要です。

醤油麹を自分で作ってみる場合は、こちらの作り方を参照してください。
醤油麹の作り方


材料


必要な道具:

  • ボウル(醤油もろみを作るためのもの)
  • 大きめのスプーン(醤油もろみをかき混ぜるためのもの)
  • 大きめの容器(今回は1.7LのWeckの容器を使用)

このレシピの成り立ち:

小豆島の醤油蔵を訪問した後、しょうゆ情報センターから醤油醸造に関してのヒントをいただき、それを家で出来る醤油作りのレシピに反映させました。

塩分濃度16.5%の濃口醤油を作る

私が今回作りたかったのは、一般的な16.5%の塩分濃度の濃口醤油。

分量計算が不明だったので、これについてしょうゆ情報センターの方に詳しく教えていただきました。

仕込み後の水分の変化がなければ、理論的には16.5%塩分濃度の濃口醤油を作ることができます。

濃口醤油とは

一般的に、同量の大豆と小麦を材料にしたものを、濃口醤油と定義するそうです。
つまり大豆1、小麦1の割合で作られたもの、ということです。

醤油業界では、元キロリットル(元KL)という単位で醤油醸造を管理されているそうです。KLで測るということはつまり、材料を重さ(KG)ではなく、体積で測ることになります。

醤油業界では

大豆元1KL=720kg/kl
小麦元1KL=750kg/kl

という単位で計算するそうです。

同じ分量の大豆と小麦を使用するということは、

元0.5KL(360kg)の大豆
元0.5KL(375kg)の小麦

が醤油麹の原料となります。

濃口醤油の塩分濃度

元1KLの原料(醤油麹)に対して、1.2KLの食塩水を使用して仕込みを行うことを、「12水仕込み」というそうです。

つまり醤油麹の分量の1.2倍の塩水をが使用されることになります。

この醤油の作り方では、12水仕込みで作ってみました。

塩水の作り方

醤油が出来上がった状態で、16.5%の塩分を含む醤油にする場合、23-25%(weight/volume)程度の塩水を使用するのが一般的だそうです。

今回は、23%の塩水で計算してみることにします。

12水仕込みということは、材料1に対して、1.2倍の塩水を使うことになります。
23%(w/v)ということは、1.2KLの水の中に276kgの塩が含まれているということになります。

23%(weight/volume)というですので、276kgの塩を含む1200Lの水を用意します。
ここで注意しないといけないのは、276kgの塩と1200Lの水を混ぜるということではないということです。

家庭で作るのに、1200Lでは多すぎるため、今回は、材料を1000分の1にしました。

下のレシピを見てもらうとわかる通り、大きめの容器の1200mlの容量の部分に黄色いマスキングテープで印をつけてから、1000分の1の塩分、276gの塩を入れ、その後、印の部分まで水を流し込みました。

23%(W/V)の食塩水を作る


1.7LのWeckの瓶に276gの塩を入れる。

その前にあらかじめ、容器に1200ccの部分にマークをつけておく。

1200cc以上の容量の大きな軽量カップがあればそれを使って、塩水を作ってもよい。
大きな軽量カップはなかったので、仕込みに使うWeckの瓶で計量することにした。

塩を入れた容器の中へ、1200ccのマークのところまで水を注いでいく。

その後、清潔なスプーンで塩と水をかき混ぜる。

塩が完全に溶けて、塩水ができあがったら、ボウルに入れてある、出来上がり後に乾燥させた醤油麹と塩水を混ぜていく。

醤油のもろみを作る


この中に23%の塩水を入れて、かき混ぜていく。
醤油麹が十分に完成した時には、胞子の粉が舞い上がるほどなので、場合によっては外でかき混ぜることをおすすめする。

塩水を加え、よくかき混ぜた状態。
醤油麹は最初、水を弾くけれど、馴染むまでよくスプーンなどでかき混ぜる。

醤油のもろみを瓶に入れる。
瓶の口部分にもろみがついていたら、クッキングペーパーなどできれいに拭う。
水分が飛ばないように、瓶に蓋をしておくが、密封はしない。

もろみが出来上がったら、最低でも1週間に一度ぐらいはかき混ぜる。かき混ぜるためのスプーンなどはその都度、消毒する。

夏場が近くなると表面がカビやすくなるので注意する。

暑い夏を2度越すことによって、発酵熟成がすすむという小豆島の醤油蔵の話をもとに、今回は寒い1月に仕込みを行い、一年半以上たった次の年の夏以降に絞りを行うことにする。

醤油作り用の醤油麹

作り方


醤油麹

材料

  • 大豆 360g
  • 丸小麦(砕かれていない丸い状態のもの) 375g
  • 醤油作りのための麹菌 1g程度

必要な道具:

  • 大きな鍋(圧力鍋を推奨)
  • 蒸し器(できればステンレス製)
  • 蒸し布(60x80cmぐらいのもの)
  • ボウル(小麦と麹菌を混ぜるもの)
  • タッパー(33cmx41cm、高さ13.5cmの14.5L容量のもの)
  • ビニール袋(45Lサイズ)
  • しゃもじやスプーン(大豆や麹菌を混ぜるためのもの)
  • 温度調節のできる電気毛布
  • 温度計
  • 保冷剤(温度を下げるためのもの)



《前日の準備》大豆の浸水


大豆を水の濁りがなくなるまで、もみ洗いするようによく洗う。
12~24時間、大豆が完全に水を吸い上げるまで十分に浸水させる。

冬場は15時間以上は最低水に浸す。大豆の表面にシワがなくなり、ふっくら完全に丸くなっていればよし。急ぎの場合は、ぬるま湯にしておくと、行程が短くなる。

暖かくなった4月の気候でも、常温で12時間では足りないぐらいだった。大豆を水の濁りがなくなるまで、もみ洗いするようによく洗う。
12~24時間、大豆が完全に水を吸い上げるまで十分に浸水させる。

冬場は15時間以上は最低水に浸す。大豆の表面にシワがなくなり、ふっくら完全に丸くなっていればよし。急ぎの場合は、ぬるま湯にしておくと、行程が短くなる。

大豆を完全に浸水させるには、暖かくなった4月の気候でも、常温で12時間の浸水では足りないぐらいだった。


ホール小麦を炒める


使用したのは、ドイツのオーガニックショップの全粒小麦。
日本で売られている丸小麦でも、もちろん作ることができる。

大豆と同量の体積の丸小麦をフライパンで炒める。

使用したのは、鉄製のフライパン。
弱火から中火の火加減で、15分程度、焦げないように、ずっとかき混ぜておく。

左が生の状態の小麦、右が炒めた後の状態。
炒めた後の丸小麦は、生の状態の時よりも、透明感がなくなり、白っぽい箇所が多くなり、茶色い部分も粉っぽく見える。

十分に炒めると、パチパチという音がしてくるので、そうなったら火から下ろす。
今回は、あんまり焦げ無い程度にあっさりと炒めて、終了。


ホール小麦を砕く


大さじ2~5程度の少ない量を 山本電気のミキサー(YE-MM41W)に入れて、15秒~30秒間、モード7で回す。
スタンドタイプのブレンダーでも何度も小麦を砕いてみたけれど、麦を砕くには時間もかかる。ハンドタイプのブレンダーではいささか馬力が足りなかった。

あまり長い時間を回しすぎると小麦が粉状になってしまうので、荒く砕けた状態になる程度で止めておく。

大さじ2程度を15秒程度、モード7で回すとちょうどよい具合に荒く砕くことができた。(写真では大さじ2よりも多い量が入っている。)

一度の全量をミキサーに入れると、長い時間、回せば回すほど粉の部分が多くなってしまう。
手間がかかるが、少量ずつやるとうまくいく。

砕いた小麦は別容器に入れて冷ましておく。


大豆を蒸す


浸水し始めてから、12時間後の様子。まだちょっとふくらみが足りないので、更に水につけておき、大豆が完全に水を吸うのを待つ。

蒸し布でくるんで、ふたをして、圧力鍋で15分ほど蒸す。醤油用の醤油麹を作るときは、大豆を茹でてはいけない。

蒸し上がった状態の大豆。水で煮た場合より、蒸した場合の方が大豆の色が濃い。


大豆をカットしてみた。ちゃんと中まで火が通っている様子。

20度の温度になるまで、大豆をタッパーの上に、蒸し布ごと広げて、冷ます。
蒸し布は、大豆を覆い尽くすことができるぐらいの大きさがよい。

今回は、33cmx41cmの大きなタッパーを使った。500gの大豆が、広げが大豆が重ならない程度の大きさのものが必要。大豆を重ねておいてしまうと内部の温度が上がってしまいやすくなるため、納豆菌に犯されてしまう。放熱できるように、平べったい、大きめのタッパーを使うのがおすすめ。


種菌をつける(種付)


こうじ座で買った醤油用の麹菌。この麹菌は醤油醸造のために大豆や小麦専用の麹として売られているもの。学名は、味噌や甘酒を作る麹菌であるAspergillus oryzaeであるけれど、醤油醸造用の麹菌は大豆のタンパク質を分解する力が強いそう。

こころなしか、色が緑っぽい。少し多めに2gほど使用。

砕いた小麦に麹菌をよく混ぜておく。


仕込み開始


20度ぐらいになった蒸し大豆と小麦を混ぜる。

大豆を捏ねて潰してしまわないように注意する。捏ねると菌が繁殖しにくくなるらしい。

小麦の粉で大豆の表面が覆われる。
大豆は温度が高くなると納豆になってしまいやすいが、大豆を粉で覆うことで雑菌を繁殖しにくくするという役割がある。

蒸し布で包む。温度計とかき混ぜるために使ったスプーンも後で使うので、一緒にくるんでおいた。

タッパーの蓋をずらして置き、タッパーを大きなビニール袋に入れる。口を閉じずに、空気が入るような状態にして、電気毛布と毛布で保温する。
温度計が箱から飛び出しているので、折らないように注意する。

最初は品温が30度ぐらいになるまで電気毛布の温度を高めに設定しておいた。

品温が高くなりすぎると、雑菌にやられてしまう可能性があるので、30分から1時間おきに細かく温度をチェックした。

温度が高くなりすぎないように細心の注意を払い、品温が30度~33度ぐらいを超えないように温度設定を行う。

次の手入れは約18-22時間後に行う。その間、就寝する場合は、就寝前に温度が高くなりすぎないように様子を見ながら、少し温度設定を低めにしておく。今までの経験からすると、36度以上になると、失敗する確率が高かったので、温度設定は33度を超さないように低めを目指した。

22時間後、品温は35度近くまで上がっていたので、一旦取り出し、手入れをした。

手入れをすることで、温度が上がりすぎるのを防ぐことができる。

35度以上温度が高い場合には、保冷剤などをタッパーの下に敷くなどして、温度を下げるようにする。
春から夏の終わりにかけての仕込みは特に、急激に温度が上がりやすくなるので、保冷剤は必須になる。

22間後の手入れの時の様子。
最初に比べると、小麦の粉が大豆のまわりに絡みついて、全体的に麹菌の胞子らしきもので覆われ始めてきたように見える。

タッパーの角の部分で、電気毛布のあたりが悪かった部分(温度が低い部分)は大豆の素肌が見えたような状態で、こちらは粉っぽくなかった。つまり、発酵に適した温度でない部分は、麹になりにくいよう。

まんべんなく手早く全体を混ぜて、布で包み、また保温する。

発酵の後半になると、温度が特に上がりやすくなるので、3時間おきに温度チェックするなどしていた。

種麹屋さんのアドバイスで「xx時間後に手入れをするより、37度まで温度が上がった時点で手入れをするのがよい」と麦麹作りの時に教えてもらったので、この経験を生かし、時間ではなく、温度を軸にして、手入れをすることにした。

醤油麹の場合は、温度が高いと納豆菌にやられてしまうので、33度ぐらいまでしか温度が上がらないように注意した。

これ以降は、温度が上がりすぎていたら、冷ますために手入れをするようにした。

就寝時は数時間、温度がチェックできないので、この日は3時間半後に起きて、温度チェック後、電気毛布の温度を設定しなおしてから、寝直した。


出麹(48時間後)


約48時間後、出麹での状態。
全体的に、うっすらと緑がかっている。

覆っていた蒸し布を醤油麹に被せずに、醤油麹を乾燥させる。

乾燥させて、温度を下げることで、麹菌の発酵を止める役割がある。

出麹から1日後、さらに醤油麹全体が緑っぽくなった。

新鮮なうちに醤油作りに使いたかったので、すぐに醤油作りにとりかかることにする。

完成した醤油麹のアップ。肉眼でもふわふわした胞子が確認できる。

単焦点マクロレンズで撮影すると、麹菌の胞子が小麦の割れた部分にまでびっしりと生えている。麹菌撮影にはマクロフォトレンズがとても役にたつ。
使っているのはキャノンのMP-E65MM。


麦麹

作り方


出来上がり:約280g

  • 裸麦 260g ※かわしまやで買った丸麦
  • 麦用の麹菌 1g程度

必要な道具:

  • 大きな鍋(圧力鍋を推奨)
  • 蒸し器(できればステンレス製)
  • 蒸し布
  • タッパー(33cmx41cm、高さ13.5cmの14.5L容量のもの)
  • ビニール袋 45Lサイズ
  • しゃもじ
  • 温度調節のできる電気毛布
  • 温度計
  • 麦を広げて、冷ますための容器





丸麦を浸水させる


duration:
about 60 min.

今回使用したのは乾燥丸麦。
押し麦では水を吸いすぎるらしいので、丸麦を洗った後、1時間、20度の水温で浸水させる。


吸水後の丸麦。
吸水後はざるにあげて、よく水気を切る。

1時間の吸水後の重さは約1.5倍だった。


今回はかわしまやで購入したものを使用。他のメーカーのものも使ったが、これが一番うまく行った。


圧力鍋で蒸す


duration:
about 20-30 min.

圧力鍋に蒸し器を入れ、その上から蒸し布をかける。
丸麦を入れて、20分蒸す。
圧力鍋の使い方については、米麹の手順とほぼ同じ。

蒸しあがったら、火を止めてから、鍋内部の圧がとれるまで放置する。



蒸した後は、ある程度透明感があり、もっちりとした食感。
芯がなく、手の指でひねると潰れる。
水分の多すぎた状態だと菌糸がまわらないので、カラッと蒸しあがるようにする。


丸麦に麹菌をつける(種付)



duration:
about 5 min.


麦麹を作るために使用したのは、麦を麹にするための麦味噌用の麹菌。

麹菌には、種類によってデンプン質、タンパク質を分解しやすいものがそれぞれある。麦用や米用、大豆用など種類があるので、用途にあったものを使用する。
つまり米用や大豆用の麹菌を使ったりした場合、麦を麹にするのに適していないので、麦麹がうまくできない。


35度程度まで冷ました麦に麦用の麹菌を振りかけて、清潔な手で麹菌を表面に刷り込む。

まだコツがつかめていない間は、種菌を少し多めに使った方が失敗が少ない。
今回使用した菱六の麦用麹菌は若干色が緑色で、独特の匂いがある。


仕込み開始



布で包む時に、ワイヤーを利用した。

少し緩めに縛っておくと空気が入りやすい。
経験的に、空気との接触が多い布の口の周辺にたくさん白い菌糸が回っているが、これはやはり酸素にあたっているからかもしれない。

もし種付けした後に、品温が低ければ、タッパーに入れずに清潔なビニール袋に入れた状態で電気毛布の上に直接置き、品温が33度になるまで温める。

品温が33度に達したら、それ以降は、タッパーの中に置いて、電気毛布からの直接の熱があたらないようにする。温度が低すぎても高すぎても麹菌が繁殖しないため、これから約48時間後の出麹まで温度管理に絶えず注意する。

タッパーの中に置く時は、今回はこのように蓋をずらしておいた。密封すると麹菌の酸素補給ができないため。

タッパーごとビニール袋に入れて、電気毛布と毛布で包む。完全に包んでしまうと、酸素が入らないため、タッパーを3/4ぐらいつつむようにして毛布をかけて保温して、ビニール袋の口は電気毛布と毛布の外で広げておき、空気が入るようにした。

品温が33度前後をキープできるように温度設定をする。
品温が上がりすぎたら、電気毛布の温度を下げて、麦の品温が上がりすぎないように始終注意する。

できれば1時間ごとに温度をチェックしておき、電気毛布の温度調節を行う。

1度目の手入れの前に就寝する場合は、就寝前には温度調節ができないので、必ず温度設定をしてから寝る。品温が38度ぐらいに達していると、数時間後にはすぐに45度以上になってしまう可能性があるので、寝ている間に品温が45度以上になってしまわないように、電気毛布の温度設定を少し低めにしておく。


1度目の手入れ



1度目の手入れ:菱六の説明書には、1度目の手入れは15~20時間後で、品温が37~40度の時に行うと書かれている。

菱六に問い合わせした時に、時間を目安に手入れをするというよりは、品温が上がった時に手入れした方がよいというアドバイスをもらった。

約21時間後、品温が38度に達していたので、布を開いてすばやく麦の粒がばらばらになるように崩していく。布に付着した麦を剥がすように、全体に空気が入るようにしゃもじなどで全体を入れ替える。

この時すでに、アルコールのような少しツンとした香りが部屋全体に漂ってくる。


一度目の手入れの時点ですでに菌糸が目視で確認できる。

温度が高くなると、どんどんと蒸し布が乾いてくる。

タッパー内の湿度が90%以上になるようにする。湿度管理のために、蒸し布が乾いていたら、蒸し布にわずかに水を含ませて少し湿った状態にしておいた。濡らしすぎて、麦に水を吸わせないようにする。
タッパー内に水を入れた皿などを入れて湿度を高める。

麦麹は温度管理が特に大事なようなので、これ以降、麦を包んで保温するか、それとも広げた状態にするかは、この時の品温によると考えた。もし手入れ後に33度以下の品温になってしまったのであれば、包んで温度が上がるようにし、もし温度が高すぎるようであれば、タッパー内で広げておいて、放熱させるようにと、保温状態を温度により変えた。

45度以上の温度になると、焼け麹と言って、麹菌の菌糸が回らなくなってしまうので、高音の場合は保冷剤を使ってでもタッパー全体を一度冷やして温度を下げるようにする。

麦の量が多ければ多いほど、品温が急激に上がるので注意する。

2度目の手入れ



2度目の手入れは、約36時間後、38度になっていたので、布を広げて放熱させた。
温度が高くなったら布を広げて、電気毛布の温度を下げるということを小まめに行う。
発酵が進むと温度が突然上がるので、品温が40度以上にならないように、十分に注意する。

この時点でも、タッパー内にたくさん水滴が見られる。


3度目の手入れ




3度目の手入れは45時間後、38度ぐらいだった。

表面に白い菌糸が回っていて、麦が一枚の板のようになっている。

温度が高くなり、蒸し布がほとんど乾いた状態になり、タッパーを入れておいたビニール袋とタッパー内部にはたくさんの水滴がついている。

湿らせておいた蒸し布のあたりが特に白い菌糸がたくさん回っている。

蒸し布に触れていない真ん中部分の方が白い菌糸が少ないように見えた。


麦全体が板状になっていて、蒸し布に張り付いていたので、蒸し布から剥がしとり、麦の粒がばらばらになるように手入れを行う。

すでに菌糸が回っているようだったので、これで出麹とするか、もし菌糸の周りがよくなければさらに数時間、温度設定をして、発酵させる。

出麹&乾燥


42~48時間後に出麹となる。
麦の粒をばらばらにして低温の湿度の少ない場所で、乾燥させる。
低温で乾かすことで、麹菌の発酵の働きを止めることができる。
ジップロックなどのフリーザーバッグに入れて、冷蔵庫で保存し、長くても7日以内、できれば数日以内に使い切る。

もし破精込み具合がよくなく、麹になっているか判断できない場合には、食べてみると米麹の時と同じように、麹の風味と甘さがあれば、麦麹になっている。
麦麹は温度が高くなっても、納豆菌に犯されにくいと言われているが、一度温度が高くなりすぎた時は、麦に菌糸があまり回らず、食べてみると納豆風味の麦ができてしまった。もし納豆風味の麦になっていたら、おそらく納豆菌に繁殖されている可能性が高い。

乾燥後の重さは、278g。
浸水前の丸麦の重さが260gだったので、約1.06倍の重さになった。