塩麹

作り方 塩麹


塩麹はどこから来たのか?

塩麹がブームになったのは2011年頃だった。 日本では、食材に限らず、あらゆるものが一世を風靡するということがしばしば起こる。 そしてそのブームは、大抵の場合、季節が一巡する前にはどこかに消えてしまうことが多いが、塩麹は、ブームの後もすっかりと自分の定位置を見つけたようで、今ではほとんどのスーパーで市販品の塩麹を手に入れることができるようになった。 塩麹がブームになる前から、日本では塩麹の原型と言われていたものが存在していたそうだ。 それは、本朝食鑑という江戸時代の書物に書かれていた。 元禄10年刊行のこの書物は、国立国会図書館のデジタルコレクションで閲覧できる。

鰯の鮮魚は、膾(なます)にしたり、炙(いりもの)にしたりする。醃(しおづけ)は炙って食う。(略)あるいは甘塩にしたものや、糟漬にしたものや、塩麹漬にしたものがあり、塩麹漬は黒漬という。

塩麹の作り方は至ってシンプルで、使われるのは米麹と塩、そして水。 麹の重さの約3分の1ほどの塩を利用して作られる調味料であるが、この高い塩分濃度の中でも麹菌の酵素は生き続けている。 麹菌の二大酵素だるアミラーゼとプロアテーゼが大活躍してくれる。


材料:

  • 生の米麹 150 g
  • 塩 50g
  • 水 100ml~130ml

必要な道具:

  • 塩麹を保管する容器(金属製ではないもの)
  • かき混ぜるためのヘラやスプーン

準備


duration:
about 5-10 min.

容器に、米麹、50gの塩、110mlの水を入れる。 容器は清潔なものを使う。 米麹は酵素力価の強い生の状態で、新しいものがよい。 スプーンなどでよく混ぜる。 塩は塩麹の味を左右するので、天然のものを使用することをおすすめする。

もし乾燥の米麹を使う場合には、ここに書かれているよりも少し多めの水を使用する。 最初に材料を混ぜてから2時間後に見てみると、米麹が水を吸って膨らんでいる。塩が容器の下の方にたまっていたら、スプーンでさらによくかきまぜる。

熟成


fermentation:
7-14 days

室温で、7から14日程度置いておくと熟成が進む。密閉せずに一日一度程度、清潔なスプーンでかき混ぜる。 夏場のように温度が高い時期は熟成が進みやすい。 米麹の酵素であるアミラーゼは15度以下の温度では活動が止まってしまうため、保管するならば、15度以上の温度がある場所がよい。 個人的な経験から言うと、フレザーバッグに材料を入れて、密閉してかき混ぜずに放置しておいても塩麹は完成した。そのため、かき混ぜ忘れたからといって、神経質にならなくてもよい。

出来上がり!


expiration date:
within 6 months

塩麹が出来上がると、米麹と塩、水が十分に混ざり合い、粥状になり、とろみが出る。 夏場は常温だと傷みやすいので、容器ごと冷蔵保存する。 発酵と熟成によって、塩麹の色が白からわずかに茶色っぽく変化する。 塩分濃度が高いため、冷蔵保存では1年程度は日持ちするだろうが、6ヶ月程度で消費することをおすすめする。

経験では、出来上がって2ヶ月のものと、12ヶ月保存した塩麹に味の面で大きな差はなかった。 塩麹のように塩分濃度が高いものは腐りにくく、傷みにくい。それでも、発酵食品を長期保管する際には、匂いや見た目から傷んでいないか、品質のチェックを行った上で、賞味すること。 塩麹をすり鉢ですり潰せば、米の粒が気にならなくなり、料理への使用の幅が広がる。

醤油麹

作り方 塩麹


麹菌の酵素がダブルで効いてる発酵調味料

醤油麹は塩麹のバリエーションとして知られている。

醤油は大豆や小麦を麹菌で発酵させた発酵調味料だ。
そのため、大豆のタンパク質が麹菌の酵素によって旨味成分に変えられており、すでに醤油そのものが旨味を十分に含んだ調味料と言える。
そこにさらに米麹を仕込み、麹菌由来の酵素で旨味を出すというのだから、醤油麹とは、麹がダブルで醤油を美味くしているという、調味料としては贅沢の極みと言えるだろう。

まさに“麹菌 meets 麹菌”.
(厳密に言うと、効いているのは、麹菌の酵素。)

贅沢なのに、作るのは簡単。混ぜておいて置くだけ。

サラダドレッシングにするのもよし、うどんの出汁に使うのもよし、刺身醤油にするのもよし、醤油の代わりに、塩の代わりに、お好みでどうぞ。(個人的には、米麹のつぶつぶごと頂くのが好み。)


材料

  • 生の米麹 150 g (乾燥米麹 110~120g)
  • 醤油 220~300 ml

必要な道具:

  • 保存容器(金属製ではないもの)
  • スプーン

米麹と醤油を混ぜる


duration:
about 5-10 min.

材料をすべて保存容器に入れて、清潔なスプーンで混ぜる。
米麹が完全に醤油に浸るぐらいの量の醤油を入れる。乾燥米麹の場合は、生のものよりも水分が少ないため、醤油を多めに入れる。もし米麹が醤油を吸い、膨らみ、表面から顔を出してしまうような場合には、後からさらに醤油を継ぎ足すこともできる。
金属製の蓋の容器などを使うと、塩分で錆びるので、プラスティックやガラス容器を用意する。

一日一度程度、醤油麹をスプーンで混ぜる。2週間ほど、室温で熟成させる。
15度以下の場合は、麹菌の酵素であるアミラーゼの活動が弱まるので、15度以上の室温においておく。夏場は熟成の期間が冬場より短くなる。あまり
塩麹と同様に、酸素補給が必要なため、保存容器の蓋は完全には密閉せず、ホコリが入らないように蓋はかぶせておく。


出来上がり



expiration date:
within 6 months

写真は6週間後の醤油麹。米麹が柔らかくなり、醤油が米麹の甘さで更に複合的な旨味のある味になった。
室温が28度を超すような場合は、冷蔵保存しておく。
醤油麹の液体だけを使いたい場合には、茶漉しなどで米麹を取り除く。米麹ごと料理に使うことも可能。
熟成後は、6ヶ月以内に使い切る。